昔の酒造り(金陵の郷)

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洗米(せんまい)

充分に精白された白米に付着している。糠(ぬか)を取り去る作業で、手洗いと足洗い作業がありました。足洗いは踏桶(ふみおけ)に1斗~1斗5升の白米を入れ、研(と)いでは水を流す作業を繰り返しました。

蒸米(むしまい)

水につけ吸水させた白米を甑に入れ、大釜の上に乗せて蒸します。1回に蒸す米の量は普通8石~10石。釜は午前2時頃から焚(た)き付けられ、午前5時頃までかかっていました。

放冷(ほうれい)

蒸米は、麹(こうじ)、もと、もろみ用に区分し、分司(ぶんじ)や蒸(ふかし)かすりでとり、飯試桶(めしため)に入れて運び、放冷場に敷かれた筵(むしろ)の上で、朝の冷気を利用して自然放冷しました。

麹(こうじ)づくり

蒸米を人肌の体温まで冷まして麹室に入れ、床(台)に広げ麹菌をつけます。約15~16時間おいた後、麹蓋(こうじぶた)に入れて棚に積み重ね、2昼夜すると麹のできあがりです。

もとづくり

冷水を入れた半切桶(はんきりおけ)に、麹と蒸米を入れて手で丹念にかき混ぜます。水分が麹と蒸米に充分吸収された頃に、もと摺櫂(もとすりかい)棒ですり潰し、もと卸桶(もとおろしおけ)で約30日かけて発酵させ、もと(酒母)をつくります。

もろみ造り

もとに水を入れた後、蒸米と麹を初添(はつぞ)え・仲添(なかぞ)え・留添(とめぞ)えの3段階に分けて仕込み、20~25日後に醪の泡がひくと発酵が終末に近づきます。

しぼり

醪を酒袋に入れ、酒槽(さけふね)で絞って酒と粕とに分離する作業です。最初に出る新酒を荒走りと言います。翌日、責槽に集めて絞り直します。さらに1日圧搾して粕を抜き取り、清酒ができあがります。

滓引(おりび)き・火入れ

絞り立ての白く濁った酒を揚桶(あげおけ)に入れ、7~15日かけて沈殿させ、上澄みを入口桶などに移すのが滓引きです。この澄酒を殺菌や熟度・香味などの調節のため約55度に加熱するのを火入れと言います。

貯蔵(ちょぞう)

火入れした酒は囲桶(かこいおけ)に入れて蓋をし、約半年から1年貯蔵。ゆっくりと熟成し、色・味ともにまろやかに深みを増していきます。囲桶は大きな桶で、口径が5尺または6尺もあります。

樽詰(たるづ)め

出荷は主に樽詰で行われました。樽は厳選された杉材を円筒型に組み、竹を編んだ箍(たが)で締め、底部と蓋を固定。僅(わず)かにふくらみのある円筒型をしたものが一般的でした。

金毘羅社領法度

こんぴらは治外法権の地御朱印地金毘羅社領は、お山代々の宮司が全行政権をもっておりました。
貞享二年(1685年)社領法度に

  • 金毘羅社領にて造る酒のみ商いのこと
  • 社領以外での酒の販売の禁止
  • 社領内酒価の統一
  • 社領上酒に割水の禁止(酒質の管理)

があり、法度に反し他領の酒を販売した酒販業者には、お山よりおしかり状(さた)が出ております。