清酒金陵の酒造工程(蔵元紹介:金陵の由来)

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清酒金陵の酒造工程

吟醸造り

【壱】精米

純米大吟醸酒では酒造好適米の中でも最も酒造りに適している米の1つである「山田錦(やまだにしき)」(兵庫県産)を用いています。
これを玄米にて購入し、自社でじっくりていねいに精米します。あまり急いで精米すると米の温度が高くなりすぎ、胴割れ(どうわれ:米が細かく砕けること)を起こしてしまうので4昼夜かけて行います。
精米歩合(玄米重量に対し精米後の白米重量の割合)にして35%、つまり米の65%を削り取り、中心の最も良い部分だけを用いて酒造りを行っています。
精米後、冷暗所に1ヵ月以上保存します。これは「枯らし(からし)」という過程で精米直後の白米は品温が若干高く、水分含量が低下しているため調整するものです。特に水分含量は次の吸水に大きく影響するため重要です。

【弐】洗米・浸漬

精米と枯らしが終わった白米をていねいに洗米し、浸漬させることによって吸水させます。
高度精白された原料米は非常に吸水しやすいため、吸水時間は秒単位で管理されます。

【参】蒸し・放冷

吸水が終わった白米を蒸し上げます。蒸しには「甑(こしき)」と呼ばれる大きな蒸し器を用います。
蒸し時間は約1時間で、出来上がった蒸米(むしまい)は適度な品温に冷やされ、以後の麹(こうじ)、酒母、もろみの各段階で用いられます。

【四】麹(こうじ)

蒸米に種麹(たねこうじ)と呼ばれる麹菌(Aspergillus oryzae)の胞子を振りかけ、麹菌を繁殖させることによって麹を造ります。
麹造りは「モロ蓋(もろぶた)」という木箱に入れて、麹室(こうじむろ)という室温32℃前後、湿度40から70%前後に調整できる部屋で行われます。
そのため冬場でも麹室の仕事は汗だくになります。
また麹造りは50~55時間以上かかり、その間何度もさまざまな手入れを行います。
よくできた麹はふんわりと柔らかく、栗香(くりか)と呼ばれる独特の甘くこうばしい香りがします。
この過程で造られた麹は次の酒母、もろみの段階で用いられます。

【伍】酒母(しゅぼ)

酒造りに用いる酵母(Saccharomyces cerevisiae)を増やすための過程です。
ここで純粋かつ強力な酵母を得ることが出来なければ以後のもろみの過程で充分な醗酵が行えないため非常に重要です。
蒸米と麹、水に純粋に培養された酵母を加えて大量に酵母を増殖させます。
速醸酒母では約14日間、高温糖化酒母では約10日間かけて造ります。

【六】もろみ

これまでに造られた蒸米、麹、酒母を用いてもろみを仕込みます。
段仕込み(だんじこみ)と呼ばれる3段階の仕込みを4日間かけて行います。
各段階を初添え(はつぞえ)、踊り(おどり:酵母の増殖のため仕込みを1日間休む)、仲添え(なかぞえ)、留添え(とめぞえ)といい、徐々にもろみ数量を増やして行く方法です。
これは酒母を大量の蒸米や水で薄めてしまうと酵母濃度が低くなりすぎてしまうため、各段階で充分に増殖させるという先人たちの残してくれたすばらしい技術です。
「もろみ管理は温度管理」といわれるほど品温の管理は重要で6℃から11℃の低温で30日間以上におよぶ時間をかけてゆっくりと醗酵させます。
このような低温長期醗酵は吟醸造りの特徴です。

【七】しぼり

醗酵が終わったもろみを液体成分(清酒)と固体成分(酒粕)とにわける過程です。もろみを酒袋(さかぶくろ)と呼ばれるしぼり袋に入れて吊るし、重力で自然にたれてきた清酒を集める「袋吊り」という方法で行います。これは本来行われる圧力をかけて行う方法に比べ重労働ですが、残った米粒を潰すことが無いため雑味のない澄んだ清酒を得ることが出来ます。このような清酒は「しずく酒」とも呼ばれます。鑑評会出品用に供され、残りのもろみは吟醸用のしぼり機で圧搾してしぼります。

【八】火入れ

出来上がった清酒は生酒ですので7日から10日間熟成させ、オリ引きした後殺菌し、酵母・酵素等を失活させます。この時の殺菌方法は「火入れ」と呼ばれる低温殺菌法です。フランスの有名な細菌学者であったパスツールがブドウ酒の腐敗を低温殺菌によって防止できることを発見し、発表したのは1865年であり、それよりはるか以前から日本では清酒に「火入れ」を採用していました。これは世界に誇るべき技術です。

【九】熟成

搾ったばかりの清酒はまだ香りや味わいが荒いことがあります。
それを低温に管理された貯酒庫で熟成させることによりまろやかに変化します。
「火入れ」や「熟成」は清酒の品質管理にあたる過程です。