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あ
- 青カビ
- パン、餅、ミカン、チーズなどによく繁殖し、青緑色の胞子をつくる。ペニシリンを生産するカビとしてよく知られているが、酒類製造に利用されることはなく、雑菌として扱われる。
- あかい酒
- 麹の一部に紅麹を用い、その紅麹菌(モナスカス)が生産する紅色色素を利用した赤色の清酒、新潟県醸造試験場の特許。
- 赤色酵母
- 人工的に突然変異で造られた酵母で、菌体内に赤色の色素を蓄積するため赤色を呈する。桃色濁り酒の製造にはこの酵母が利用される。
- 赤酒
- 清酒とよく似た方法で醪をつくり、発酵終了時に灰を投入する。熊本地方特産の赤褐色の酒。
- 赤めし
- 気温が高いときなど、水きりした白米を長時間放置してから蒸すと赤い蒸米ができることがある。これを赤めしという。米の表面に細菌(シュードモナス属菌)が繁殖したためである。
- 赤ワイン
- 黒色系または黒紫色系のブドウを用い、果梗は除き、果皮、種子、果汁を一緒にして仕込み発酵させたワイン。発酵中に果皮から色素が、また種子からタンニンが溶出されて、赤ワイン特有の色調と渋味が備わる。
果実酒
- 秋上がり
- 冬季に製造した清酒が、貯蔵して秋になると酒質が向上すること。逆の場合を秋落ちという。
- 亜硝酸
- 生元系酒母では、水中の硝酸が硝酸還元菌によって還元されて亜硝酸となり、この亜硝酸が酵母の早湧きを抑えるという重要な役目をする。しかし一般に、水中に亜硝酸が多いことは細菌による汚染の可能性が大きく、好ましくない。
- 厚蓋
- 醪の状貌
- 甘辛度
- 清酒の甘辛の程度をしめす値で、清酒のブドウ糖濃度(S)と酸度(A)から次式により算出される。この式によって甘辛の81%が説明できる。
Y(甘辛度)=0.86S-1.16A-1.31
- 甘酒
- もち米のかゆに米麹を混ぜ、約一昼夜、55度前後に放置して作ったもの。別名「一夜酒」、「なめ酒」ともいう。
- 甘酒四段
- 麹と蒸米と湯で仕込み、55度程度で糖化して甘酒をつくり、これを親桶の醪に添加する方法。
- アミノ・カルボニル反応
- 一般に、アミノ基とカルボニル基の反応をいう。清酒は熟成とともに着色度を増すが、これは清酒中のアミノ酸とグルコースが反応するアミノ・カルボニル反応によると考えられている。
- アミノ酸
- アミノ基とカルボキシル基をもつ化合物の総称であって、蛋白質の構成成分である。アミノ酸の中で最もよく知られているのはグルタミン酸であり、グルタミン酸ナトリウムの形で調味料として使われる。清酒中には19種のアミノ酸が定量されているが、これらのアミノ酸は、甘味、旨味、酸味、苦味などをもっている。アミノ酸が多い酒はゴク味が豊であるが、多すぎれば雑味が多くなり、少なすぎれば味がうすくなる。
- アミノ酸度
- 清酒10mlをとり、ホルモール滴定法で滴定したときの、0.1規定NaOH液の滴定ml数をいう。通常の市販酒のアミノ酸度は、1.3~1.7程度である。
ホルモール滴定法
- アミラーゼ
- 澱粉を加水分解する酵素の総称であって、澱粉をデキストリンのような、ある程度大きな単位で分解する液化型アミラーゼ(α-アミラーゼまたは液化酵素ともいう)と、グルコース単位で分解する糖化型アミラーゼ(グルコアミラーゼまたは糖化酵素ともいう)がある。
- アミロース
- グルコースが直鎖状につながった高分子化合物で、アミロペクチンとともに澱粉を構成している。日本の粳米では、澱粉の約20%前後がアミロースである。
- アミロペクチン
- グルコースが枝わかれした鎖状につながった高分子化合物で、アミロースとともに澱粉を構成している。日本産の粳米では澱粉の約80%、糯米では澱粉のすべてがアミロペクチンである。
- 荒櫂
- 酒母あるいは櫂を仕込んで数時間以上経つと、水を吸った蒸米と麹が山状に盛り上がってくる。そこで、固形物と液部とをよくまぜるために櫂を入れる操作のことを荒櫂という。
- 荒走り
- 上槽
- アルキメデスの原理
- 「液体中にある物体は、その物体がおしのけた液体の重さの分だけ軽くなる」という原理。この原理によって、物体の浮き沈みや浮ひょうによる比重・日本酒度・アルコール分などの測定を説明することができる。
- アルコール
- 分子中に水酸基(OH)をもつ有機化合物をいい、1分子中に水酸基を1個もつものを1価アルコール、2個もつものを2価アルコール、3個もつものを3価アルコールという。清酒中には、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソブチルアルコール、イソアミルアルコール、フェネチルアルコールなどの1価アルコールや、グリセリンと呼ばれる3価アルコールが含まれている。
- アルコール収得歩合
- 原料白米100kgから発酵によって生成された清酒中の純アルコール数量(リットル)を表し、酒化率を表す一つの方法である。
- アルコール使用限度数量
- 清酒の製造方法の承認基準により、製造場ごとの原料用アルコールの使用数量はその酒造年度に清酒製造の原料として使用する白米1,000キログラム当たり280リットル(アルコール分100度換算)以内とされている。
- アルコール耐性酵母
- アルコール耐性が強く、醪の末期になっても死滅しにくいために、アルコール分20%位まで発酵する。きょうかい7号からつくられたアルコール耐性酵母は、きょうかい11号と呼ばれている。
- アルコール脱水素酵素
- 一般に、アルコールとアルデヒドの間の酸化還元反応を触媒する酵素をいう。酵母の菌体の中では、アセトアルデヒドをエチルアルコールに変える重要な働きをしている。
- アルコール添加
- 上槽前の醪にアルコールを加えること。第二次大戦後の原料米の不足を補う目的で、昭和18酒造年度から清酒醪にアルコール添加が認められるようになったが、現在では清酒の香味を軽快にするためと製造原価の低減をはかる目的でアルコール添加が実施されている。
柱焼酎
- アルコール添加清酒
- アルコール添加
- アルコール発酵
- 生物が無酸素的に糖類を分解してエネルギーを得る様式の一つで、次のゲイ・ルサックの式にしたがって、ブドウ糖からエチルアルコールと炭酸ガスを生産する。略して発酵と呼ぶことが多い。
- アルコール分(度数)
- 清酒のアルコール分とは、15度における清酒100ml中に含まれているエチルアルコールの容量をいう。清酒を蒸留し、水を加えて原容に復し、15度で酒精度浮ひょうを浮かべて測定する。
- アルデヒド臭
- 木香様臭
- α-アミラーゼ
- アミラーゼ
- α化
- 生の澱粉(β-澱粉)に水を加えて加熱すると、澱粉は膨潤して糊になり、酵素によって分解されやすくなる変化をいう。
- α化米
- 蒸米の澱粉をα化したままの状態で脱水乾燥し、β-澱粉に戻らないようにしたもので、仕込みのときは、そのまま投入できる。
- α-澱粉
- α化した澱粉をいう。
- 泡笠
- 酒母や醪の高泡の時期に、泡がこぼれないようにタンクの上縁に取り付ける枠のことをいう。
- 泡消機
- 醪や酒母の高泡時に泡を消す装置。図の下部の複数の金属棒が回転して泡を消す。
- 泡なし酵母
- 清酒醪や酒母の高泡時に、高泡を形成しない性質をもつ清酒酵母の総称。きょうかい酵母のうち、601号、701号、901号、1001号は泡なし酵母で、それぞれ6号、7号、9号、10号を親株とした変異株である。
- 泡盛
- 琉球諸島特産の乙類焼酎。タイ産の砕米にアワモリ麹菌(アスペルギルス・アワモリ)を繁殖させた麹を原料にして糖化し、これを発酵させて単式蒸留機で蒸留する。掛米を使用せず、麹だけで仕込むのが特徴である。
- 行火
- 暖気樽によって酒母の温度を上げるかわりに、酒母タンクの下に電熱器などの熱源を入れて温度をあげる方法を行火法といい、この熱源のことを行火という。
- アンプル仕込み
- 初添前の水麹時に酒母の代わりにアンプル入りきゅうかい酵母(培養酵母)を用いる仕込法で、一種の酒母省略仕込みである。初添の一部の麹と水を使って初添前日に水麹を行い、35度前後の温度に保ち酵母を増殖させてから、翌日初添を行う。初添以降は通常の仕込み同様に仕込む。酒母の代わりにアンプル入りきょうかい酵母を使用することからこの呼称がつけられた。
- アンモニア
- NH3の分子式をもつ化合物。水中のアンモニア含量が0.1ppmを越えるときは、汚水混入の疑いがあり、醸造用水として好ましくない。アンモニア水は、清酒の除酸に用いることがある。
い
- 家つき酵母
- 純粋分離してこれを培養した培養酵母ではなく、その酒造場内に生息している野生酵母のことをいう。優良な清酒酵母の場合もあるが、一般に酸の生成量が多く、アルコール生成量が不十分で、香気不良な酵母である場合が多い。
- イオン
- 荷電した原子団をいう。Na+、K+、Ca+などを陽イオンといい、Cl-、SO4-などを陰イオンという。
- イオン交換樹脂
- イオン交換のできる樹脂をいう。陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂および両性交換樹脂がある。水の浄化や清酒の脱酸などに用いる。
- 異臭
- 正常な清酒にはない臭いをいう。また、利酒用語等にない臭いを表すときにも用いられる。
- 異種穀粒
- 酒造用玄米のなかに混じっている籾あるいは麦などの玄米以外の穀粒をいう。
- 移出
- 酒類を出荷する場合など、酒類が製造場から出されることを酒税法では移出という。
- 移出価格
- 酒類を移出するときの、酒税抜きの生産者販売価格をいう。
移出
- 1:2点法
- 酒AとBに差があるかどうかを知りたいとき、まず酒Aを利酒し、次にAとBを盲で利酒して、Aと異なる方を当てさせる方法。出荷検査によく使われる。
- 板粕
- 酒粕の別名で、板状になっていることからこの名が生まれた。上槽直後の酒粕はこの状態で得られる。
酒粕
- 荒走り
- 上槽
- 一級酒
- 級別
- イラ湧き
- 醪の前期に糖化よりも発酵が急進し品温が急昇して極端に前急型の発酵経過をとるとき、イラ湧きという。
- 入口タンク
- 滓引き専用のタンクのこと。庫内で最も温度の低いところに置き、上槽したての酒をこのタンクに移して滓引きする。
滓引き
- 色戻り
- 活性炭濾過をした清酒が後日着色し、活性炭処理前よりも色が濃くなる現象をいう。濾過助剤、活性炭あるいは容器などから鉄が清酒に混入することによって生じる。
- 岩泡
- 醪の発酵の前段階で、水泡から次第に泡が高くなり、岩のような形になった時期の泡をいう。高泡の初期の泡である。
醪の状貌
う
- ウイスキー
- 酒税法では次のように定義されている。
- (イ)
- 発芽させた穀類と水を原料として糖化させ、発酵させたアルコール含有物(醪)を蒸留したもので、蒸留の際の留出時のアルコール分が95%未満のもの(いわゆるグレンウイスキー原酒)
- (ロ)
- 発芽させた穀類と水によって発芽していない穀類を糖化させ、発芽させたアルコール含有物を蒸留したもので、蒸留の際の留出時のアルコール分が95%未満のもの(いわゆるグレンウイスキー原酒)
- (ハ)
- 上記の(イ)または(ロ)に掲げる酒類に、アルコール、スピリッツ、香味料、色素、または水を加えたもので、(イ)または(ロ)に掲げる酒類が10%以上混和されているもの。したがって、(イ)または(ロ)のうち、蒸留の際の留出のアルコール分が95%以上のものや、穀類以外の原料を使用したものは、ウイスキーではなくスピリッツ類になる。
- ウイスキー類
- 酒税法では、ウイスキーとブランデーの2品目をまとめてウイスキー類としている。
- ウェット炭
- 粉末の飛散による汚れを避けるために、水分を50%程度含ませた粉末活性炭。
活性炭素
- ウォッカ
- 旧ソ連、ポーランドのほか、米国でも大量に生産されており、日本の酒税法ではスピリッツ類のなかの品目スピリッツに分類されている。トウモロコシ、小麦などが原料であるが、北欧では馬鈴薯も使われる。これらの澱粉質原料を蒸煮して麦芽で糖化し、発酵させた後、連続式蒸留機で蒸留し、水でうすめてアルコール分を40~60%にし、白樺の炭の層を通して精製するのが特徴である。
- 薄皮
- 醪の状貌
- 裏うち
- 酒粕の裏面に、醪中で溶けなかった麹や米粒が白い粒として残っている現象をいう。
- 粳米
- 通常の米飯や清酒製造に用いられる米。粳米の澱粉はは80%近くのアミロペクチンと、20%近くのアミロースからなっている。
アミロース
アミロペクチン
- 上立ち香
- 清酒に鼻を近付けて感じる香りで、利猪口などに入れて放置しておくと揮散してしまう香りをいう。
基調香
- 上呑
- タンクの側面の底部に近い部分に、液を出し入れするための穴が上下2個あって、これを呑穴といい、上の呑穴を上呑、その下の呑穴を下呑という。
え
- エアシューター
- 蒸米や麹などを送風機の風圧で輸送する装置をいう。
- A-B直線
- Aはアルコール分、Bはボーメ度を表す。AとBの関係をグラフ上に直線で示し、醪の管理に用いる。
- 液化
- 飽和状態にある蒸気の温度を下げると、蒸気の一部は液体に戻る。これを液化という。また澱粉は水に不溶性であるが、これをα-アミラーゼで分解して可溶性にすることを澱粉の液化という。
- 液化仕込み
- 白米またはその粉砕物を仕込水とともに80~90度くらいの高温で液化酵素の作用により澱粉を液化させ、冷却後に酒母と麹を加えて発酵させる清酒醸造法をいう。
- 液化型アミラーゼ
- アミラーゼ
- エキス分
- 酒税法では、温度15度のときにおいて、原容量百立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数をいうと定義している。清酒のエキス分は次式により算出する。エキス分=(S-A)×260+0.21ただし、Sは比重であり、次式により日本酒度から求める。また、Aはアルコール分を比重(15/15度)に換算したものである。なお、国税庁所定分析法注解(日本醸造協会発行)には、日本酒度とアルコール分からエキス分と原エキス分を求める表が掲載されている。
- SI培地
- 清酒が火落菌に汚染されているかどうかを検出するために使う簡易培地の一種。
- SS
- 浮遊物質量の略で、水中に浮遊・懸濁している固形物のことをいう。SSの量は、BOD、CODとともに水の汚染度を示す指標として使われている。酒造米の洗米排水は、SSの価が高い。
- エステル
- 酸とアルコールから水がとれて結合したもの。有機酸のエチルエステルは、酒類の重要な芳香成分であるものが多い。
- 枝桶
- 醪の温度管理を容易にするために、醪を1本の大容器に仕込まずに、数本の容器に分けて仕込むとき、大容器を親桶といい、これに付属する小容器を枝桶という。
- エチルアルコール
- C2H5OHの化学式で示されるアルコールで、酒類中のエチルアルコールは、発酵性糖類から酒母による発酵によってつくられる。エタノールともいう。沸点78.3度
- MC炭
- モレキュラーシービング・カーボン
- 塩
- 酸と塩基(アルカリ)が中和するときにできる化合物をいう。たとえば、塩酸と水酸化ナトリウムが中和すると、塩化ナトリウム(食塩)という塩ができる。酒造に関係の深い塩には、食塩、リン酸カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸カルシウムなどがある。
- 塩基
- 水溶液にしたときに水酸イオンOH-だけを陰イオンとして放出し、アルカリ性を示す物質をいう。酒造に関係の深い塩基としては、清酒の酸の定量に使われる水酸化ナトリウムや中和剤に使われるアンモニア水(水酸化アンモニウム)がある。
お
- 追水
- 醪の留仕込み後に、醪に添加する水のこと。水四段ともいう。
- 桶売り
- 桶取引
- 桶買い
- 桶取引
- 桶取引
- 酒類を販売容器に詰めずに、主に原酒のまま製造業者間で売買することを桶取引(未納税取引ともいう)といい、売りを桶売り、買いを桶買いという。
- 押槽
- 上槽
- 落泡
- 高泡の末期になると泡が次第に低くなり、攪拌すると音をたてて泡が落ち込みながら消えるようになる。この時期を落泡または引泡という。
醪の状貌
- 踊り
- 醪の添仕込みの翌日は、酵母の増殖を待つために、仕込みを1日休む。これを踊りという。
- 親桶
- 枝桶
- 滓
- 上槽したばかりの清酒は白濁しているが、これを数日間静置すると、底部に白色の混濁物質が沈殿する。この沈殿物質を滓という。
- オリゴ糖
- 2~6個の単糖類が結合したもので、加水分解すると単糖類が生成する。清酒中のエキス分の多くはブドウ糖とオリゴ糖によって構成されている。少糖類ともいう。
- 滓下げ
- 清酒の白ボケ(蛋白質混濁)による商品価値の低下を防止するために、ビン詰め前に滓となる成分を沈降させる操作を滓下げという。滓下げの方法には、柿渋などを使う物理的清澄法と蛋白質分解酵素を使う酵素的清澄法があり、清澄の目的に使用する物質を滓下が剤という。
蛋白質混濁
- 滓酒
- 滓引きした後に残った白濁した清酒を製品にしたもの。
- 滓引き
- 上槽したての白濁した清酒を数日以上静置して、上澄した部分を下部に沈殿した滓から分離する操作を滓引きという。
- 折れ線グラフ
- 測定値が連続的な場合には、度数をヒストグラムの各々の柱の上辺の中点をとり、また両端の階級では階級の幅の2分の1だけ左右にとって各点を結んだグラフをいう。また、測定値が離散的な場合には、各測定値を横軸にとり、度数を縦軸にとって、各点を結んだグラフをいう。
- 温度補正
- 浮ひょうでアルコール分や日本酒度を測定する際、測定温度が15度以外のときに下記の補正表により15度のときの示度に補正することをいう。アルコール分:酒精度温度補正表 日本酒度:日本酒度温度補正表