か
- 櫂入れ
- 酒母や醪などの物料(水と麹と蒸米をいう)を櫂棒を使ってかきまぜる操作をいう。
- 外硬内軟
- 良い蒸米の状態を表現する言葉。表面がべとつかず、握ったときに弾力があって芯が感じられないことをいう。
- 灰分
- 有機物を完全に焼いて残った無機物をいう。
- 櫂棒
- 酒母や醪の物料を攪拌する木製(一部に竹を使用することもある)の道具をいう。蕪櫂は、竹棒(または木製の棒)の先に木製の板を取り付けたもので、長さによって大櫂(約2.3m)、三尺櫂(約1.8m)、もと櫂(約1.5m)などの種類がある。蕪櫂は、最も一般に多く使用される。この他、先端が偏平でへら状になったへら櫂と呼ばれる櫂があり、生もと系酒母の育成操作に使われる。
- 開放発酵
- 白米の浸漬中に、水を入れ替えることで、漬替えともいう。掛流しと同じ効果である。
密閉発酵 - 替え水
- 澱粉を加水分解する酵素の総称であって、澱粉をデキストリンのような、ある程度大きな単位で分解する液化型アミラーゼ(α-アミラーゼまたは液化酵素ともいう)と、グルコース単位で分解する糖化型アミラーゼ(グルコアミラーゼまたは糖化酵素ともいう)がある。
- 科学的酸素要求量
- COD
- 柿渋
- 青渋柿を砕いて水を加え、数日間密閉して放置し、濾過した上澄液を約半年間密閉保存してつくる。ゼラチンと併用して、清酒の滓下げに用いる。
- 格付法
- ききざけによって、清酒の品質を、良、不良、上・中・下、優・良・可・不可などと評価格付けする方法。
- 掛上げ
- 醪の仕込みで、水麹の温度より暖かい蒸米を投入して、目標の仕込温度にまで上昇させる仕込方法をいう。
掛下げ - 掛麹
- 醪の仕込み(添、仲、留)に用いる麹の総称。初添(添仕込み)に用いる麹を添麹、仲添(仲仕込み)に用いる麹を仲麹、留添(留仕込み)に用いる麹を留麹という。
- 掛下げ
- 醪の仕込みで、水麹よりも低温の蒸米を投入して、目標の仕込温度にまで下降させる仕込方法をいう。
掛上げ - 掛流し
- 洗米後の白米を浸漬タンクに入れて水に漬け、タンクの下部より水を注入し、上部からあふれさせる方法をいう。15~30分の掛流しによって米中のカリウムやリン酸が減少し、醪の発酵が暖徐になる。
- 掛米
- 蒸きょう後に、冷却してそのまま仕込む米のことをいう。
- 過酸化水素水
- 消毒殺菌剤。30~35%の過酸化水素水を水で10~30倍にうすめ、タンクや仕込み庫などの殺菌に使用する。
- 果実酒
- 酒税法では、果実酒は果実酒類のなかに分類される。
果実酒類 - 果実酒類
- 酒税法では、果実酒と甘味果実酒の2つの品目に区分され、次のように定義している。
- (イ)
- 果実または果実と水を原料として発酵させたもの
- (ロ)
- 果実または果実と水に、糖類を加えて発酵させたもの
- (ハ)
- 上記(イ)または(ロ)の酒類に、糖類を加えて発酵させたもの
- (ニ)
- 上記(イ)から(ハ)までの酒類に、ブランデー等(ブランデー、アルコール、果実を原料としたスピリッツをいう)または糖類、香味料、色素もしくは水を加えたもの
- (ホ)
- (イ)から(ニ)までの酒類に植物を浸してその成分を浸出させるか薬剤を加えたもの、またはこれらの酒類にブランデー等、糖類、香味料、色素もしくは水を加えた
1.アルコール分が15度以上のもの
2.砂糖、ブドウ糖、果糖以外の糖類をくわえたもの
3.ブランデー等の混和割合が10%を越えるもの
4.色素を加えたもの
この品目区分によると、シャンパンやワインに果汁等を混和して造るワインクーラーなどは果実酒に区分される - 果実の酒
- 果実混和酒ともいう。主に35度焼酎に砂糖を加え果実(梅の実など。ただし、ぶどうは使用できない)を漬けてつくる酒で、家庭で造ることができる。市販の焼酎とぶどう以外の果実を用い、家庭で消費することに注意する必要がある。
- 粕
- 酒粕のこと。
酒粕 - 加水調整
- 原料に水を加えてアルコール分やその他の成分を調整すること。
- 加水分解
- 無機化合物あるいは有機化合物と水との複分解反応や、水による分解反応をいう。たとえば、麹のα-アミラーゼによる米の澱粉の分解は、加水分解である。
- 粕換算率
- 製成した粕の重量を容量に換算するために使われ、1L当たり1.1kgとされている。
- 粕離し
- 清酒醪の上槽後、酒袋あるいは濾過板から清酒粕を取り出す操作を酒離しあるいは酒はがしという。
上槽 - 粕歩合
- 原料の白米重量に対する粕重量の割合をいい、%で表す。
- 粕四段
- 醪の添・仲・留の仕込みが終わった後に、醪中に清酒粕を投入する仕込方法をいう。粕四段は、吟醸粕の有効利用、異臭(ジアセチル臭など)の除去、その他香味の調整などの目的で行われる。
- 課税標準
- 酒類に対して酒税を課するときの計算のもとになるものをいう。従量税の課税標準は、酒造場からの移出数量であり、輸入酒の場合には、輸入する数量である。
- 活性化エネルギー
- たとえば、澱粉が分解されるときに、越さなければならないエネルギーの障壁がある。この障壁を飛び越すために必要なエネルギーを活性化エネルギーという。酵素は、この活性化エネルギーを下げる働きをする。
- 活性清酒
- 清酒醪を荒ごしした濁ったままの酒で、濁り酒ともいう。微弱な発酵が続きガスが含まれているのでこの名が付いたが、酒質を安定させるため火入れをしたものが多い。
- 活性炭素
- 仕込用水や割水用水の精製、および清酒の脱色、香味の調整、着色防止、火落防止のために使用される。活性炭ともいう。原料によって植物炭、動物炭、石油系炭素などに分けられるが、清酒で使われるのは主に植物炭である。また賦活法によって、水蒸気賦活炭、塩化亜鉛賦活炭の区別があるが、清酒では両方とも使用されている。また、形状によって粉末炭と粒状炭の区別がある。
- 片白
- 掛米のみ白米とし麹米には玄米を用いて造った酒のことで、江戸時代諸白に対して用いられた呼称である。諸白以前の酒であるが、江戸時代にも造られた。
諸白 - カビ
- 糸状菌のこと。菌糸と呼ばれる細長い細胞からなり、葉緑素をもたない微生物に対する俗称である。
- 下面酵母
- 発酵の後半になって次第に凝集して下に沈殿する酵母をいう。日本のビール酵母などは下面酵母である。
上面酵母 - ガラクトース
- 単糖類の一種で、分子式はC6H12O6でグルコースと同じであるが、構造が一部異なる。酵母の性質を調べるときに、その発酵性が問題にされる。清酒酵母は、ガラクトースを発酵する。
- 枯らし
- 精米から醪の仕込までの工程でできた中間生成物が、次の工程で使用されるまで長時間放置された状態をいう。
1.精米後の白米を紙袋に入れたりホッパーに移すなどして使用時まで放置することを白米の枯らしといい、この間を白米の枯らし期間という。米粒内の水分分布を均一にし、室温と湿度になじませることを目的としている。枯らし期間は精米歩合にもよるが、7~20日くらいとする。
2.出麹後1日ほど放置してから仕込みに使用することを、出枯らしという。枯らし中はうすく拡げて乾燥させる。
出麹使い
3.酒母のもと分け(丸冷まし)から使用時(もと卸し)までを酒母の枯らしといい、その間を酒母の枯らし期間という。酒母の種類等にもよるが、普通速醸酒母では5~7日くらいが適当である。 - カリウム
- 元素記号はK。カビ・酒母の増殖に重要な役割を果たすが、多すぎると製麹や醪経過で温度が急昇し、管理が困難になる。
- カロリー
- 1カロリー(1cal)とは、1gの水の温度を1度高めるために必要な熱量をいう。1,000calを1kcalまたは1大カロリーという。ただし、食物の栄養価や熱量の燃焼熱の場合には、単に1Calと書き、大カロリーを意味することが多い。
- 関係湿度
- 相対湿度
- 還元
- 物質が水素と化合するか、酸素を奪われるか、あるいは、電子を受け取る反応をいう。
酸化 - 乾湿球温度計
- 2本のアルコール(または水銀)温度計を縦に並べてセットし、一方の温度計の球を湿ったガーゼで包んだもの。乾球温度計と湿球温度計の示度の差を乾湿差といい、麹室の温度の管理に使用される。乾湿差から計算あるいは表によって相対湿度を求めることができる。
- 乾湿差
- 乾湿球温度計
- 甘蔗
- さとうきびともいう。ラムの原料になる。また、搾汁から砂糖をとった残りの廃糖蜜は、原料用アルコールの原料になる。
- 含糖質物
- 砂糖、糖蜜、蜂蜜のように、糖分その他の成分を含むもので、その含有糖分が主として利用されるものをいう。
- 乾熱殺菌
- 加水水蒸気を使わず、加熱空気を使う殺菌方法をいう。ガラス器具や金属製器具の殺菌のときに使われる。
湿熱殺菌 - 甘味果実酒
- 果実酒類
き
- 生一本
- 単一の製造場でつくられた純米酒をいう。自社の別の製造場でつくられた純米酒や他社でつくられた純米酒を混和したものは、生一本の表示はできない。
- 気化
- 液体が気体になることをいう。
- 木香
- 樽、桶、桶の蓋など木製の容器から酒につく杉材由来の匂い。
- 機械麹法
- 引込から出麹まで完全に自動化する全自動式と、引込から盛りまで従来の床で操作し、盛り後の操作を自動化する半自動式がある。
- 機械製麹法
- 機械麹法
- 規格外米
- 水分が多い、被害粒、死米、着色粒などが混入しているなどのため、検査基準からはずれている水稲粳玄米のうち、異種穀粒や異物を50%以上含んでいないものをいう。
- 気化熱
- 液体が蒸発するときに必要とする熱量をいう。麹の温度は、麹菌の増殖によって上昇するが、麹を手入れするときに蒸発する水分の気化熱によって調整される
- 木香様臭
- 醪の発酵が旺盛なときにアルコール添加をした場合など、上槽後に木香とよく似た香気を生ずることがありこれを木香様臭という。本体は、アセトアルデヒドと推定されている。アルデヒド臭ともいう。
- きき酒
- 酒の官能検査のこと。色・透明度を見て良否を判断し、香りを嗅ぎ、味を検して差を判断し(識別)、評価(格付け、数量化)することをいう。
- きき猪口
- 清酒のきき酒に用いる容器。底に藍色の蛇の目模様を入れた白磁製容器で、きき酒には通常、容量200mlくらいのものが用いられる。試料を8分目くらい注いできき酒に供する。
- 危険率
- 仮説が正しいのに仮説を棄てる比率(%)をいう。
- 黄麹菌
- 麹菌のうち、胞子の色が黄、黄緑、黄褐色のものをいう。清酒、みそ、しょう油などの製造に利用される。
- 器差補正
- 浮ひょうの示度から真実の示度を差し引いた値を器差といい、浮ひょうの示度から器差を差し引いて真実の示度に補正することを器差補正という。浮ひょうなど計量器には必ず器差があるので、真実の示度を知るには器差補正が必要となる。 (真実の示度)=(浮ひょうの示度)-(器差)
- 基質
- 酵素が分解する相手の物質のことをいう。たとえば、α-アミラーゼの基質は澱粉である。
- 基質特異性
- 酵素が働きかける基質は決まっている。たとえば、澱粉を分解するα-アミラーゼは、蛋白質を分解することができない。これを酵素の基質特異性という。
- 記述統計学
- 大量のデータを要約して記述することを目的にする統計学をいう。
推測統計学 - 貴醸酒
- 汲水の一部を清酒におきかえて、米、米麹、水、清酒を原料にして製造した清酒。極めて濃醇甘口で、内容成分は普通清酒の1.5~2.0倍である。
- 基調香
- 清酒を空気中に放置したときに、残部に残る匂いをいう。燗冷ましの匂いでもある。
上立ち香 - 規定濃度
- 溶液1リットル中に溶質1グラム当量を含む溶液の濃度を1規定といい、1Nと書く。清酒の酸度を測定するときには、10分の1規定(0.1N)の水酸化ナトリウム(NaOH)を用いるが、この溶液は、1リットル中にNaOHの10分の1グラム当量すなわち4グラムを含んでいる。
グラム当量 - 気曝法
- 水に溶解している第1鉄イオンを空気中の酸素に接触させて難容性の第2鉄イオンに変え、濾過によって除く方法。
- 希薄もと
- 汲水量を多くして糖濃度を低くし、乳酸を添加して雑菌の汚染を防ぎ、櫂入れによって通気を行い、酵母を増殖させるもと。
- 帰無仮説
- 統計的仮説検定のためにたてる仮説をいう。
対立仮説 - 生もと
- 蒸米を摺る操作(山卸しという)中に硝酸還元菌によって亜硝酸を生成させ、さらに乳酸菌によって乳酸を生成させ、次いで酵母を増殖させる仕込方法による酒母のことをいう。
- 生もと系酒母
- 酒母中に乳酸菌を増殖させ、その乳酸菌の生産する乳酸によって雑菌の汚染を防ぎ、酵母を健全に増殖させる酒母をいう。育てもとともいい生もと、山卸廃止もとなどが含まれている。
速醸系酒母 - 級別
- 清酒とウイスキー類に設けられていた税率区分のことで、それぞれ規格によって特級、一級及び二級の級別に区分されていたが、酒税法の改正により平成元年4月1日以降この制度は廃止された。しかし清酒については、平成4年3月31日までの3年間の経過的措置が講じられ、一級と二級の級別が存続していたが、平成4年4月1日以降この級別もなくなり、級別制度は廃止された。また、ウイスキー類については、平成元年4月1日以降級別はすべて廃止されている。
- きょうかい酵母
- 日本醸造協会で領布している優良酵母をいう。清酒用酵母としては、きょうかい6号、7号、9号、10号、11号、12号、13号、及び泡なし系のきょうかい601号、701号、901号、1001号が主なものである。ブドウ酒用酵母もある。
- 凝固点
- 液体が固体に変わることを凝固といい、凝固の始まる温度を凝固点という。
- 凝集沈殿法
- 洗米排除の処理法の一種で、ポリ塩化アルミニウム(PAC)とポリアクリルアミド(PAA)等の凝集剤により排水中の浮遊物質や溶解物質を凝集、沈殿させて浄化する方法をいう。
- きょく子
- 生の穀類を粗く砕いた粉を水で練り固め、瓦状・だんご状・円板状などにしてカビを生やした中国の麹のことをいう。
- キラー酵母
- 生育過程で培地中にキラー毒素(キラートキシン)と呼ばれる物質を菌体外に排出して、他の酵母を殺す酵母のこと。キラー毒素によって殺される酵母を感受性酵母、また殺されもしないし他の酵母を殺しもしない酵母をニュートラル(中性)酵母という。
- 切返し
- 製麹で、床もみ後10~12時間たつと、麹菌が増殖しはじめて温度が上がり、堆積米の内外で温度と水分が不均一になるために、堆積をもみほぐし混合して均一にするとともに、酸素を補う作業をいう。最近、切返しを省略して製麹する方法も行われている。
- 切返し機
- 製麹で、米の塊を砕き篩を通して米粒をほぐす機械。当初切返しの時に使用する機械としてこの名称が付けられたが、近ごろは労務事情などから切返し操作が早く行われるようになり、この時期にはまだ蒸米が軟らかくて使用できないため、実際には盛りの時期に使用することが多い。
- 切りばな
- 呑切りの際に、貯蔵タンクの呑穴から出てくる清酒が発する香りのことで、貯蔵清酒の異常の有無を判定する一つの目安になる。
- 吟醸香
- 吟醸酒に特有の芳香で、酢酸イソアミルやカプロン酸エチルなどのエステルが主体と考えられている。
- 吟醸酒
- 製法品質表示基準に定める特定名称の清酒の一つ。精米歩合60%以下の白米、米麹、水、またはこれらと醸造アルコールを原料として、吟醸づぐり(低温でゆっくり発酵させ、粕歩合を多くする方法)でつくられ、固有の香味及び色沢が良好な清酒をいう。醸造アルコールを使わないで造った吟醸酒は純米吟醸酒、また、精米歩合50%以下の白米を原料にして造った吟醸酒で、固有の香味及び色沢が特に良好なものは大吟醸酒、さらに、醸造アルコールを使わないで造った大吟醸酒は純米大吟醸酒と称することができる。
く
- 空寸
- 醪や酒などの容器の満量面から内在している液面までの深さをいう。
- クエン酸
- 柑橘類に多く含まれる酸で、爽快な酸味をもっている。清酒中に含まれる酸の一つである。また、麹菌により生産され、麹中の主要な酸である。
- 屑米
- 澱粉の集積度が不十分な米で、しいな米(籾殻ばかりで実がない米)、死米(澱粉集積度が30~60%で停止した米)、死青米、未熟米(澱粉集積度が60~90%)などが含まれる。精米のときに、砕けやすい。
- 下り酒
- 江戸時代、江戸に送られてくる灘、大阪あたりの上方の酒をいい、下りものとも呼ばれた。
- 組合わせ
- n個の異なるものから、順序を考えずにr個取り出す選び方を、n個からr個を取り出す組合せという。
- 汲掛け
- 酒母の仕込み後3~6時間して蒸米が膨らんできたときに、蒸米をつぶさないために荒櫂を入れず、その代りに酒母の中央に穴を掘って汲掛け用枠(アルマイト製の円筒かあるいは木製の角筒で、枠の外側に蒸米を移し、液だけが内部に流入して溜るように工夫された枠)を入れ内部に溜まった液を時々ひしゃくで外部の蒸米にふりかけて、温度の均一化と蒸米の溶解をはかる操作をいう。
- 汲出し四段
- 四段仕込みの一つの方法である。親桶に直接蒸米を投入しないで、醪の一部を枝桶に汲出してそれに蒸米を投入し、3~4日糖化させてから親桶に戻す方法をいう。現在はほとんど行われていない。
- 汲水
- 酒母や醪の仕込みに使う水のことを汲水という。
- 汲水歩合
- 総米重量に対する汲水量の割合をいう。通常の仕込みでは、125%~130%が普通である。
- クモノスカビ
- リゾープス属に属するカビをいう。中国の麹の主要なカビである。
餅麹 - グラム当量
- 酸の分子量を、水素イオンに変わり得る水素原子の数で割ったものを当量といい、これにグラムをつけたものをグラム当量という。塩基(アルカリ)の場合には、1分子中の水酸基の数で分子量を割ったものを当量という。
- 栗香
- 出麹の頃になると発生する、蒸した栗、あるいは焼いた栗に似た香りのことをいう。
- グリセリン脂肪酸エステル
- 蒸米の空気輸送や、製麹操作を容易にする目的で、蒸米のサバケを良くするために添加するエステル。
- グルコアミラーゼ
- アミラーゼ
- グルタミン酸ナトリウム
- アミノ酸塩の一種。グルタミン酸のナトリウム塩で、旨味を呈する。増醸酒製造用の調味アルコールに使用される
- クロール
- クロールイオンは、酒母や醪中で、麹からの酸素の溶出を助ける働きをする。クロールの増強には食塩を加工する。
- 黒粕
- 粕の表面に黒または褐色の斑点の現れた粕をいう。発生原因は麹菌の生産する酸化酵素によるもので、これを防止するためには褐変性の少ない麹菌を選ぶことが大切である。この防止にはピロ亜硫酸カリウムが用いられる。
ピロ亜硫酸カリウム - 黒麹菌
- 胞子が黒褐色をしている麹菌をいう。黒麹菌は、泡盛製造に用いられる。
け
- 珪藻土
- 珪藻類の遺骸が堆積して灰白色の地層になったもの。特に鉄などの不純物の少ないものを精製して、清酒の濾過に濾過助剤として用いる。
- ケーク濾過
- 一般に、懸濁物を含む液を濾材で濾過したときに、濾材の表面にケーク(かす)が堆積する濾過方法をいい、表面濾過ともいう。
- ケカビ
- ムコール属に分類されるカビをいう。中国の麹にみられるカビ。
- 原エキス分
- 醪液または清酒中に溶けている成分の総量で、醪液または清酒のエキス分とアルコールに変化したブドウ糖量を加えた量をいう。次式によって計算する。原エキス分(%)=エキス分(%)+アルコール分の度数×1.5894
- 原核生物
- DNAが核膜に包まれていない生物をいう。細菌は原核生物である。
真核生物 - 嫌気性菌
- 酸素があってもなくても生育する通性嫌気性菌(乳酸菌、大腸菌など)と、酸素があると生育しない偏性嫌気性菌(アセトン。ブタノール菌、ボツリヌス菌など)がある。
- 嫌気的発酵
- 酒母によるアルコール発酵、乳酸菌による乳酸発酵などのように、酸素を必要としない発酵をいう。
- 原形指数
- 精米した白米が、玄米の原形をどの程度残しているかを計る指数のことをいう。指数は1に近いほどよい。。
- 原形精米
- 玄米の原形をとどめるように精米することをいう。
原形指数 - 原材料名の表示
- 製法品質表示基準によれば、水を除いて、その清酒の製造に使用した原材料は、すべて酒税法に定める原材料名を用いて表示し、その順序は、米、米麹に次いで使用量の多い順に表示する。ただし、ブドウ糖、水あめを糖類と、乳酸、コハク酸などの有機酸を酸味料と、またグルタミン酸ナトリウムをグルタミン酸Naか調味料(アミノ酸塩)と表示してもよいことになっている。
- 原子
- 分子を構成している粒子をいう。
- 倹尺口
- 密閉タンクの上部に取り付けられた採尺のための小さな穴をいう。
- 原酒
- 上槽後水を加えない酒をいう。製法品質表示基準では、アルコール分1%未満の範囲内で加水調整したものも含まれる。
- 検蒸
- 蒸きょうの終了直前に、蒸米をひねり餅にして蒸し上がりの具合を検査することをいう。
ひねり餅 - 原子量
- 炭素原子1個の重さを12としたときの、各原子の比較的な重さを原子量という。
- 元素記号
- 原子を国際的な共通記号で表したものをいう。
- 検定
- 酒類が構成されたとき、容器ごとに数量、アルコール分、エキス分などを税務職員が検査すること。検定は実例により行うのが原則であるが、多くの場合、製造者から検定に必要な事項を申告させ、これに基づいて検定する。総計的仮説検定とは異なる。
- 限定吸水
- 浸漬中に白米が吸水し過ぎないよう時間を短縮し、白米の吸水を制限すること。吟醸酒をつくるときによく行う。
- 玄米
- 稲の籾を脱穀し、さらに籾殻を除いたものを玄米という。
- 研米機
- 白米に付着している糠分を取り除く装置をいう。
- 原醪
- アルコールや調味アルコールなどを添加する前の醪をいう。
- 原料米の品種名
- 製法品質表示基準によれば、その品種名の原料米の使用割合が50%をこえる場合に限り減量米の品種名を表示することができ、品種名とともに使用割合も表示することになっている。
- 原料用アルコール
- 酒税法では、スピリッツ類に該当する酒類で、酒類製造の原料として用いられる。清酒の製造方法の承認基準の一部改正により、昭和62酒造年度から清酒製造の原料用アルコールには、連続的蒸留機により製造されたアルコールのほか、米(米糠を含む)、米麹、清酒および清酒粕を原料とした焼酎乙類(自製酒か、委託製造および共同製造のものに限る)も含まれる。
こ
- 高温糖化もと
- 水、麹、蒸米を55~58度に仕込み、この温度を5~8時間持続して糖化し、約40度まで急冷してから乳酸を加え、さらに冷却を続けて25度付近で酵母を添加して生育する酒母をいう。
- 高温短期型
- 醪の発酵型式の一つ。高温(20度前後)で発酵させ、発酵期間を短くする。
低温長期型 - 高温短期速醸もと
- 速醸もとの変形で、高温(25~30度)で仕込む速醸もとのこと。
- 公害対策基本法
- 国民の健康で文化的な生活を確保するために、国民の健康を保護し、生活環境を保全することを目的とした法律。
- 好気性菌
- 酢酸菌や枯草菌のように、酸素がなければ生育しない菌。
- 好気的発酵
- 酸素を必要とする発酵をいう。
- 高級アルコール
- ノルマルプロピルアルコール、イソブチルアルコール、イソアミルアルコールなど、分子中の炭素の数が3個以上のアルコールをいう。アルコール発酵の際、エチルアルコールに伴って生成され、エステルと共に酒類の香気成分を構成している。
- 高酸味酒
- 最近開発された新しいタイプの清酒で、酸味をつけるために、乳酸菌、黒麹菌、リゾープス菌などが利用される。
- 麹
- 一般的には穀類に麹菌やクモノスカビなどのカビ類を繁殖させたものをいい、カビ類が生産する酵素類を利用するために酒類の製造等に用いられる。その形状によりバラ麹と餅麹に大別される。酒税法の定義によると、澱粉質物またはこれと澱粉質物以外の物品を混和したものにカビ類を繁殖させたもので、澱粉質物を糖化させることができるものをいう。清酒製造に用いる麹は、蒸米に黄麹菌を繁殖させた米麹で蒸米の溶解糖化を行うアミラーゼなどの酵素類と酒母の増殖発酵を進める栄養素等を酒母と醪に供給している。
- 麹エキス
- 米麹に水を加えて55℃前後で糖化させた後、これを濾過して得られる液で、酵母などを培養するときの培地として用いられる。麹汁ともいう。
- 麹カビ属
- アスペルギルス属といわれ、醸造用の麹を造るときに用いられる。清酒麹用の黄麹菌、焼酎麹用の黒麹菌や白麹菌などが含まれる。
- 麹菌
- わが国の醸造工業で使用している麹をつくる麹カビ属の糸状菌を総称して麹菌あるいは麹カビという。麹菌には、アスペルギルス・オリゼー(清酒、味噌、しょう油、みりんなどの麹に使用する)、アスペルギルス・タマリィ(たまり味噌、たまりしょう油の麹に使用する)、アスペルギルス・ソーヤ(しょう油の麹に使用する)、アスペルギルス・アワモリ(泡盛の麹に使用する)、アスペルギルス・ウサミ(焼酎の麹に使用する)などがある。
- 麹汁
- 麹エキス
- 硬質米
- 酒造界では、白米が吸水しにくく、蒸米の手ざわりが硬く、醪中で溶けにくく、粕量が比較的多くなる傾向のある原料米を、一般に硬質米といっている。
軟質米 - 麹箱
- 箱麹法で使用する製麹用の箱をいう。
箱麹法 - 麹ばな
- 新酒に特有の香りで、新酒ばなともいう。
- 麹歩合
- 1仕込みに使用する白米の総重量に対する、麹米の重量の割合(%)をいう。
- 麹蓋
- 蓋麹法で製麹するときに用いる浅い小箱をいう。1枚あたり1.5~2.5kg盛る。
蓋麹法 - 麹蓋法
- 蓋麹法
- 麹米
- 麹につくる白米のことをいう。
- 麹室
- 製麹のためにつくられた専用の部屋をいう。十分な保温と換気が重要な条件になる。
- 硬縮麹
- 硬くて破精込みのよくない麹のこと。酵素力が弱く醪で溶けにくくて粕の裏打ちの原因になる。蒸米が硬すぎるか、製麹中の蒸米の水分発散が過剰な場合などにできやすい。
- 硬水
- 硬度
軟水 - 合成清酒
- 酒税法では、合成清酒とは、アルコール、焼酎、ブドウ糖、米、麦などを原料として製造した酒類で、清酒に似ているものと定め、使用できる米の重量はアルコール分20度に換算した場合の重量の5/100を超えないこととしている。
- 高精白米
- 精米歩合の低い白米こと。かつて尺貫法を採用していた時代に精米の程度を表すのに精白度が用いられていたが、これによると精米歩合の低いことは精白度の高いことに当たる。。
- 酵素
- 生物がつくる蛋白質のうち、各種の化学反応を触媒するもの。たとえば、α-アミラーゼや酸性プロテアーゼなど。
触媒 - 酵素(剤)仕込み
- 掛麹の一部を市販酵素剤で代替して仕込む方法をいう。
- 酵素(剤)浸漬
- 酵素剤を白米の浸漬用水に溶解して浸漬し、製成酒の香りを良くしようとするリパーゼ浸漬や、白米の吸水を良くしようとするセルラーゼ浸漬がある。
- 酵素(剤)糖化四段
- 四段仕込みの一つの手段で、蒸米を市販酵素剤で糖化し、これを醪に投入する。
- 口中香
- 引込み香
- 硬度
- 水中のカルシウムとマグネシウムの量を総体的に酸化カルシウム量で表した値。硬度の高い水を硬水といい、逆に低い水を軟水という。また、硬水中の硬度成分を取り除き軟水にすることを軟化という。
- 高分子物質
- 澱粉はブドウ糖が多数つながってできており、蛋白質はアミノ酸が多数つながったものである。澱粉や蛋白質のように、小さい分子から構成されている大きい分子のことをいう。
- 酵母
- 菌類のなかで、普通は栄養細胞の出芽によって増えるものをいう。
- 酵母仕込み
- 酒母省略仕込み
- 酵母純度
- 試料(酒母、醪)中の酵母100当りに含まれる添加した培養酵母の数をいう。純度の検定にはTTC染色法またはβ-アラニン培地による方法が用いられる。
TTC染色法
β-アラニン培地 - 酵母密度
- 酒母や醪の1gあるいは1ml中に含まれる酵母の数をいう。
- 高粱酒
- 中国の蒸留酒の一種。
- 糊化
- α化
- 呼吸
- 生物が酸素を用いて、ブドウ糖などの基質を炭素ガスと水にまで完全に酸化して、その際に生じるエネルギーを得る反応をいう。
- ゴク味
- 各種の味が豊富で、しかもよく調和しているときに生じる充実感をいい、コク(酷)ともいう。
酒の五味 - 穀粒計
- 米の粒数を測定する道具。ちょうど玄米粒が入る程度の大きさと形の溝が縦、横に10個計100個刻んであり、この上に米をのせて余分な米を取り除けば、100個の米粒を計りとることができる。穀粒計算器ともいう。
- 固形酵母
- 純粋に培養した酵母を、遠心分離、圧搾、乾燥などの手段で脱水したものをいう。これに対して、液体培地に培養されたままの酵母を液状酵母という。
- 甑
- 昔から米を蒸すために使用されている木製の桶。桶の底に甑穴と呼ばれる穴があり、ここから蒸気が噴き上がって桶中の白米を蒸す。アルミニウム製もある。
- 甑肌
- 蒸きょうの、際に甑に接している蒸米部分をいう。また、その部分が凝縮水を吸い軟らかくなくなりやすい状態にあることをいうときもある。生じた軟らかい蒸米を肌めしという。
- 古酒
- 一般には、年月を経過し、熟成した酒のことで、前年度あるいはそれ以前に造った酒のことをいう。古酒と新酒の分け方は、酒造りが主に冬季だけ行われていた頃には火入れを分かれ目にし、上槽後火入れをしていない酒のことを新酒、火入れをし一定の貯蔵時間を経た酒のことを古酒と呼んでいたが、四季醸造など酒造りが長期化してからは、従来の酒造季節を基準にし、この酒造季節になってからできた酒を新酒、1年前の酒造季節に造った酒のことを古酒と呼ぶか、あるいは、酒造年度を基準にし、この酒造年度に造った酒のことを新酒、前の酒造年度に造った酒のことを古酒と呼んでいる。
新酒 - 個数計算
- アルコール分、日本酒度、酸度など、成分値の個数(成分値×容量)に基づいて行う計算法をいう。醪へのアルコール、調味アルコールの添加や清酒の調合などの際、その成分値の変化を予測したり、添加量や調合割合等を決めるときに用いられる。たとえば、アルコール添加の場合、アルコール分について個数計算すると次のようになる。醪(アルコール分Am%)Mリットルに添加用アルコール(アルコール分30%)Vリットルを添加したとき、添加後の醪のアルコール分をAs%とすると、添加前の醪と添加アルコールのアルコール分個数の和は添加後の醪のアルコール分個数に等しいので次の式が成り立つ。Am×M+30×V=As×(M+V)
- 枯草菌
- 強いα-アミラーゼを分泌する細菌の一種で、製麹中にこの菌が麹表面に増殖するとスベリ菌(ヌルリ菌)となる。納豆菌と呼ぶ場合もある。
- コハク酸
- 乳酸とともに清酒中に最も多く含まれる有機物である。旨味のある特有の酸味をもち、清酒の味を構成する重要な一因となっている。コハク酸ソーダは、貝汁の旨味成分といわれている。
- 古米
- 米殻年度(11月~10月)が前年度の産米をいう。
- 古米臭
- 米が古くなると現れる臭いで、脂肪酸およびその分解物の臭いと考えられている。
- 古米酒臭
- 古米を使って造った清酒に発生する特有の臭いで、熟成とともに強くなる。その本体は、ジメチルサルファイドといわれている。
- 米置き
- 蒸米をつくるために、甑の中に浸漬した白米を入れる(張り込む)ことをいう。
- 米糠
- 糠
- こもかぶり
- 運搬中の酒樽の荷扱いをやりやすくするため、樽をこもで包みなわをかけたのがはじまりで、のちに装飾がほどこされるようになった。
- 混合指示薬
- ブロムチモール・ブルー(BTB)とニュートラル・レッド(NR)をアルコールに溶かした溶液で、清酒中の酸度を測定するときに用いる。淡緑色となったところが中和点(pH7.2付近)を示す。
- 混成酒
- リキュールやカクテルのこと。